浅い眠り/レタス
騒めきの通りから
暗く曲がりくねった路地に誘われて
踵を返した
ランプが点いたドアの前
コツコツとノックして把手を回した
鍵はかかっていなくて
乾いたほのかな風がぼくを包んだ
ドアを閉めてみると微かな電灯が闇を切り裂いていた
迷路の廊下を辿るとドアがもうひとつ
コツコツとまたノックする
やはり鍵はかかっていなかった
ドアを開ける と
ベージュの空間が広がり
大古の空気が満ちた化石の森だった
岩々には三葉虫やアンモナイトの囁きが微かに聞こえてくる
ティアノザウルスは此処はお前の来る処ではない!と唸った
ぼくはもう行く処が無いのです と 応え
走りに 走っ
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