浅い眠り/レタス
走った!
またドアがあって飛び込んだ
其処は狂った時計の森だった
時計たちはぼくに
いま何時! いま何時! と絶え間なく聞いてくる
このままではぼくも狂ってしまう
両手で耳を塞いで
走りに 走った!
またドアがあり
飛び込んだ!
其処は鏡の世界だった
何処から聞こえてくるのかわからないけれど
ハッッハッッハァ! どれがお前なのか判るか? と
ぼくはどれがぼくなのか分からなくなった
やがて薄絹に包まれ
柔らかな布団にくるまって
スズメのさえずりに眼が醒めた
とても疲れた朝だった
初出 日本WEB詩人会 2004/02/09
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