久保俊治著 「羆撃ち」を読んで/山人
、また、彼らが一晩の寝床に用いるべく風通しの有無など徹頭徹尾研究し、把握していったのである。それは単独猟ならではの為せる所業であるとともに、血のにじむ細部の探求がなければ羆に近寄ることができないが故の気の遠くなるような作業だったのであろう。そして、羆を射程内に収めてからの、撃ち手の銃という器具が最大限能力を発揮できるかという観点から、正確無比な射撃技術と銃のきめ細やかなメンテナンスなど、ずぼらな私から見れば雲泥の差なのだと感じた。
筆者はずっと単独猟であったが、ある時に猟犬を飼うこととなった。フチという名の猟犬である。アイヌ犬でありながら、気性の荒い雑な雄犬ではなく雌犬を選択したのである。オス
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