久保俊治著 「羆撃ち」を読んで/山人
ンターを生業としようとする固い意志があった。そのために用意周到にまずはベースキャンプを張り、そこを拠点に羆を求め、沢を遡行・渡渉したり、尾根筋から足跡や痕跡を分析したりと、地道な調査を徹底的にやったようだ。
羆の痕跡を求める際に、一日何キロ、あるいは十キロ以上の道なき道を行くわけで、その都度ベースキャンプに戻っていたのでは足跡の消滅など、追跡できなくなるため、ツェルトなどのビバーグが当たり前だったようである。その結果として、羆になるべく接近し、至近距離での捕獲が主だったようだ。
止め矢の後、皮剥ぎから内臓の摘出まで細かい描写で綴られているのである。膵臓、肺、膀胱などは食不適なため、他の動物
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