青い墓標/TAT
裸の太陽
『それは悪夢のようだった。汚れと粘つくもの、こわれたビールのコップと毒舌にしゃべり明かされた夜々とを越えて、私は、魔法にかけられた夢想者なる自分が、醜い不潔な道をおちつきなく悩ましくはって行くのを見た。お姫さまのところへ行く途中で、泥水のたまりや悪臭と汚物に満ちた裏路地に立ち往生してしまう夢がある。私はそんなぐあいだった』
ジプシー・サンディー
『なにもかもおもしろくなかった。父の書斎での父との問答もおもしろくなく、にがにがしかった。二、三の親類のあいさつもおもしろくなかった。とりわけ、クリスマスの前夜はおもしろくなかった』
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