青い墓標/TAT
一つなかった。まったくなにもなかった。そのとき、時計が頭に浮かんだ。それは古い銀時計だった』
『おれが言わなくったってよく承知してるじゃないか。おれは二マークもうけることができるんだぜ。それを捨ててしまうほどおれは金持ちじゃないんだ。そりゃわかってるだろう。だが、おまえは金持ちで、時計まで持っている。二マークおれにくれさえすればいいんだ。それで万事かたづくんだ』
トカゲ
『「それはおれには関係ないことだ。おまえを困らせようというんじゃない。おれは実際お昼前に金を手に入れたいところなんだ。おれは貧乏なんだ。おまえはきれいな着物を着ているし、お昼にはおれより上等なものが食える
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