赤い墓標/TAT
〉と言って、行くだけさ。ウシの乳をしぼり、ニワトリにエサをやっておいて、町へ見に行くんだ』
キラー・ビーチ
『何百人という男たちが、背中には毛布の包みを背負い、頭にはそれと同じくだらねえ考えを抱いて、農場から農場へと渡り歩くのを、おれは見てきたがね。何百人という男たちがだよ。この連中はやって来て働いちゃ、やめて次へ移って行く。その一人一人が、みんな頭の中に小さな土地を持っている。でもだれ一人、その土地をほんとうに手に入れた者はいねえ。まるで天国みてえなもんだ。みんなが小さな土地をほしがっている。おれはここで本をたくさん読むがね。ほんとうに天国へ行った者はいねえし
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