赤い墓標/TAT
えし、土地を手に入れる者もねえんだよ。土地はただ頭の中にあるだけだ。みんな、いつでも土地のことを話しているが、ただ頭の中にあるだけなんだな』
赤毛のケリー
『あたし、サリーナスに住んでいたの。子どものころ、引っ越して来たのよ。あるとき、旅まわりの劇団がやって来てね、あたしは役者の一人と知り合いになった。劇団といっしょに来ていい、ってその人は言ってくれたの。でも、かあさんが許さなかった。あたしがまだ十五歳だから、って言うのね。だけど、その人は来ていいと言ったのよ。行ってりゃ、こんな暮らしはしてないわ。ほんとよ』
カルチャー
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