黒曜の夢/レタス
 
ポツリと闇を照らす一軒の家が在り
老婆が戸締りをしていた

「すみません。あのう三丁目に行くにはどうしたら良いのでしょうか」
老婆は怪訝そうな面持ちで
「お前さん何処から来なすった?」
「森の入り口から来ました」
「そうかえ… この先に郵便ポストがあるから其処が三丁目じゃ」
「有難うございます」
老婆は無言で灯りの中へ消えていった

コインは間違っていなかった

やがて赤いポストが立っていて
十字路に路は分かれていた
右に曲がり歩数を数えながら歩いてゆくと

すでに閉店しているcafeの入り口にホワリと灯るランタンがぶら下がっていた

「すみません。大きな林檎
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