いくはて 雨露の飾り/あらい
 
で云った

繁栄の痕
ゆるやかな白と黒の群れが
monochromeの木々
なぜ夕暮れを映す庭は
わたしはなぜのぞいていくのか

狸がしみ付いたのだと孕んだものを拾った
手紙の一部を寄越す口から茶を二度含んでは苦い
見つめられるとあてどないのだと覗き込んだ
旅人だけだった。
躊躇いながら試しにうたう袂に落とされたは
なんとも、腐らせ いつまでもながくほそく中空に
呑み込まれる寸前で制止している

証拠もなく、性懲りもなくいまだ
低湿な沼地にいくばくもない
残花を浮かべる、小舟にはなにも
のこされてはいないけれど
紅ばかりが黄昏を演じている
燃え滓の躍りだろ
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