密度流/ホロウ・シカエルボク
上手く使える時間はあと少しだった、音楽とそれ以外の静寂の中で、手探りは黙々と続けられた、僕は君のようにこれを読んでいる、その意味が君に理解出来るだろうか、だだっ広い野原、誰も居ない朽ちかけた家屋、忘れられた海、そんな場所に佇むことはもうすでに詩として成立している、誰にも見せる必要がないのなら、それで…でもそんな完結はいつか自家中毒に繋がるだろう、望むものに出会えた時、それは変換して吐き出されなければ、身体の中で行き場所を失くしてしまう、振動が生み出していく波形をしっかりと読み取っていなければならない、ある時まで僕は、それは速ければ速いほどいいと思っていた、指先が追いつかないほどの速度で思考を記して
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