肌で生きるエウロペ/菊西 夕座
さえているのは母なる愛の息吹
いたずらにひねくれてしまいそうな エウロペというやせ細る枝を
大地につなぎとめる太い幹 麻痺する感覚をいつもはげまし
あつい樹液のような手のひらで かんじやすい肌をさすってくれた
いかに牡牛がちからの象徴で どんな恋をもかんたんに篭絡し
深山もかるがると押しのけ 深海もやすやすときり裂き
オリュンポスの山頂に君臨し 運命さえひとひねりであっても
エウロペと大地とをむすぶ 母なる絆はたちきれなかった
いましもその絆が穂となって 群れそだつエウロペの肌いち面に
母がひかりの樹液をそそぎこみ 穂波が金のみのりにふるえると
なえ衰えたエウロペのから
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