肌で生きるエウロペ/菊西 夕座
からだに あらたな器官がめをさます
よこたわるだけの細い枝から ちいさな新芽が無数にあわだっては
空からおちてくるあめの粒と 求愛のワルツをおどりはじめる
カップルが芽ぶくたびにエウロペは 進化する生を肌でかんじた
4、
総毛だつやわ肌からふきだす汗に エウロペの感覚が凝縮する
あおむいたしろい両手が顔のまえで サンゴのように腕にはりつき
うすく白目をむいて笑っている 彼女のくちはひきつったまま
結晶する汗をかじつにかえて 全身全霊でにおいたっている
5、
苦しくて立ちどまりそうなとき ただ汗だまとなってエウロペをおもう
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