青空とレモネード?/朧月夜
なたは絵を描かないんですか?」
「ああ、あたしは止めちゃったの」
君のルームメイトはそっけなく答えた。芸術家になる道というのは、そんなに簡単に諦めてしまえるものなのだろうか、と僕はいぶかった。詳しく聞いてみると、今は会計の勉強をしているということだった。すでに簿記1級の資格は取ってある。将来は公認会計士になるつもり、と彼女は答えた。
僕が君のルームメイトと話している間、君はずっとにこにこしていた。自分が中心人物になりたい、という性格ではないらしい。そのことは僕にとっては意外だったけれど、ほっとした。この前のようなペースに巻き込まれては困る、とも思っていた。3人で歩いている間、
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