青空とレモネード?/朧月夜
…」
「そうか」――どうやら、彼にもそうした経験があるようだった。若い時には誰もが無理をするものだ。若い僕が言うのは変だが、上司は様々な仕事を経験してきただけあって、人生の山や谷を見尽くしてきていた。若い部下が病気で倒れることを、無下に罵倒してみせたりはしない。
その日の仕事はなんとかこなすことが出来た。結局、僕が穴を空けたのは1つのシフトだけだった。僕の後輩が代わりに仕事を受け持ってくれたらしい。そしてその日が、僕がレモネードを飲むことを日課にした最初の日だった。それは、僕にとってはお守りかおまじないのようなものでもあったろう。幸い、その日以来仕事を休んだことはない。
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