いつか星になるまで/そらの珊瑚
うなのか。
「そうだ、これ。はい、ハッピバースディ トウ ユー」テンコは小さな紙袋を僕へと寄越した。
機嫌は少しよくなってるっぽい。満腹は心にも満ちるものだから。
「いいのに。毎年」
「いやいや、忘れたくても忘れらんないよ。誕生日がクリスマスなんてさ」
誕生日とクリスマスが一緒の日で幸せだと思ったことはいまだかつて、ない。
心が狭いのだ、僕という人間は。僕の誕生日はクリスマスのお祝いのついで、という気がずっとしていた。
「ありがとう、開けていい?」
「開けなくていい。ネイルだから」
ギターをひく身なので爪の補強に使ってはいる。
「透明?」と訊くと
「青色。可愛いよ。なによ……
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