いつか星になるまで/そらの珊瑚
つないでいる。
細々と全国の小さなライブハウスをこうして回っているのだ。
「なんかさ、いつまで続けられんのかな」
湯気の向こうでテンコがまるで独り言のようにしゃべった。
鍋の中では一次会は終わり、二次会へ突入していた。鷹の爪と緑のニラの欠片が踊る銀色の鍋の中で、〆のうどんが煮え始めている。
「お客さんが一人でもいる限り?」僕はお手拭きで汗をぬぐいながら答えた。
「一人のために歌うの? 見つめあって? うあ、想像したらなんか恥ずくない? お客さんだって困っちゃうよ」
幕引きをするのか、しないのか、するならそれは近いのか、遠いのか。
人生の決断をもつ鍋屋でするのは正解なのか、どうな
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