音楽と精霊たち?/朧月夜
 
し方、人との接し方、それらがすべてあわさって、土地の霊というものが出来上がる。それは、ある時はよそ者を寄せ付けないし、ある時は包容力を持ってよそ者を包み込む。

(今のわたしは、この街にとっては部外者なのだろう)

 そう、葉子は結論した。

 家の中にいても、何かが違っていた。それは「淋しい」というのとは違う。むしろ、何らかの力で家の中が満たされている感じだ。ありていに言えば、葉子は自分が幽霊屋敷に住んでいるかのような気分になる。しかし、不思議と父や母の霊魂の存在は感じられない。そのことを葉子は不思議に思う。

 強いて例えるなら、家の中に座敷童が住んでいる、といった感覚だろうか
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