Lの昇天?/朧月夜
 
。と同時に、腑に落ちない自分を目の当たりにしても、冷静でいられる自分を感じていた。きっと母は年を取ったのだろう、そして性格が柔軟になったのか、こだわりが薄れてしまったのか。とにかく、Lの母は変わったのだった。

「元気にしている?」

 と、Lの手を取ってLの母親は何度も繰り返した。その手も取るがままに任せていた。この病院では、時折誰かの見舞いにその家族が訪れる。友人や知人の訪問は許されてはいない。病棟に入れるのは、その患者の家族だけだ。Lとその母親が接しているのを見て、嫉妬している誰かもきっといるはずだった。

 Lは、母親が持ってきたジャンクフードやカップラーメンの扱いに困った。だ
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