零/ただのみきや
 
昔の異国の詩人

籠の中の鳥は誰よりも遠く高く飛んだ
鳥籠を選んだのは彼女自身
名ばかりの自由という見えない鳥かごの中を
ただ同じように旋回するだけの鳩の群れの一羽になるよりも
自分だけの静謐
自分だけの鳥籠を選んだのだ
そうして彼女はことばを編んだ
小さな太陽を心臓として持つ雲雀が
叢の中にひっそりと隠れてするように
いま歌声だけが天高く時を超え

時間と距離に翻弄されてはいけない
たとえそれが星の光のようであっても
ゼロ距離でつながることができる
発したこころと受けとったこころ
ことばの端と端をつかんだその瞬間
わかったふりなどしなくていい
たとえ理
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