産み辺のカルマ/平井容子
 
と。
たった数分の中にある永遠をとらえた魂の恋人たち。

さびしかった。
さっきまで彼とどこで飲もうかなんて考えていたのに。
美しさをおなじだけ味わうことのできない予感の前に、その微熱は完全にひしゃげてしまった。



3.湯気


気だるくて起き上がれないけれど
ベランダの外はきっと海になっているだろう
そこに
真綿みたいな雪が
ほそ、ほそ、と落ちているだろう
きっと……

エロい夢をみたあとに
シンクの前で
爪先立ちで飲むぬるい白湯

熱が下がれば急に笑えてきてしまう
うるおうためだけに
必死に乾こうとしているわたしたちを



4.◯
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