neoteny/医ヰ嶋蠱毒
僕の右肩へ憩う鴉が
君の憂鬱を啄む宵にのぼる満月
卵殻は肉體の成熟だけを迎え腿を伝う経血と
なお幼い儘の世界を眺望する君の病室に山積し
癲狂院の広場に谺するクランケの聲に扉は披く
「ようこそ、君だけの夜へ」
幾つかの睦言を代償に二羽の鳩を贖う僕の窓から
城塞は幾世紀を経て尚堅牢に旧びた秘密の応えを飾る
金木犀の薫を纏う君は擬態する惨憺の錯視を抜けて
丘に聳えるモノリスを墓碑とし己が履歴を予め刻み込むのだろう
数え切れぬ絶滅とネオテニーの先頭に
ただヒトたる為の鋭利な理性、鋩に立つ者の一人として
前世の罪業と天使の心臓を秤に掛け桟橋より彼岸へ渡る
呪詛は信仰
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