夜が騙している/ホロウ・シカエルボク
静寂は、すべてがただ生温い、こんな風に考えたことはないか?明るい照明の下に居る時ほど、生きているかどうかわからないって―自分の肉体は実はこの世界にディスプレイされた無意味なオブジェなのではないかって…人工物に囲まれて暮らすあまり、生体としての本質を忘れてしまっているのさ、そういう時は指先に力を入れてみるんだ、ぶるぶると震えるくらいに思いっきりね、そうすると手首が熱を持ってくる、そうして、そこから始まるんだ、と考える、おまじないを信じないと駄目さ、先祖代々、直感が信じ続けてきたものに従わなければ…生温い闇の中で眠りながら、俺はどんな夢を見ているのだろう?生温い静寂に囲まれて、鼓膜はどんな振動を感じて
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