冬の詩人 2023/丘 光平
 
 初めておぼえたこどものように
  泣きやまないまま


  薄暗い空へ
  渡ってゆくとりたちのしずけさ
  一羽 
  また一羽 遠くはぐれて


   ただ 星のように黙っていた
  あなたは どこへもゆかない
  あなたは なにも悲しまない




  「冬の詩人 2」



  わたしから
  消えてしまわぬように 灯した夜が
  風のなかで


  あなたから
  聞こえぬように 燃えてゆく
  ちいさなものがたり 


   わたしから始めた
   わたしから立ち止まった
   わたしから降りつづけた


  分
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