冬の詩人 2023/丘 光平
分かり合えるよろこびよりも
分かち合えないかなしみをも
ひかり輝く
見つからぬように わたしたちから
忘れ去られぬように
ひかり輝く
この星からうまれた
この星からなくした
この星から降りつづけた
「冬の詩人 3」
つめたい陽のひかりが
咲き遅れたバラの花に告げたもの
道は ひとつ
あなたを見せる 道は ひとつ
わたしを見失う
足の踏み場もないほど
季節は落ちて
こどものようにだまっている
きっと
風は 風のことしかしらない
空は 空のことしかしらない
願いが
うまれるとき
父なるものを見せる 願いがうまれるとき
母なるものを見失う
風は つよくなるだろう
空は たかくなるだろう
その手は
おなじ朝をとどけない その手に
おなじ夜はとどかない
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