ふざけてるのか/石川湯里
 
のアニメーションが色々なポーズをとっていました。私は春川ナミオ画伯の鉛筆画には、或いはこの色が、と考えていたのですが、思考を遮るように、今度は音楽に再び意識を奪われました。
そうこうしているうちに、外国人の給仕がカレーとナンを運んできては、一礼して厨房の方へと消えていきました。
私がナンをむさぼっていると、ようやく今日二番目の客が入ってきました。そのくたびれた中年の男は私と対角のテーブルにつきました。視線を料理に戻すと、私は暇を紛らわすように再びナンを口に運びました。食事が作業のようになるにつれて、奇妙な曲が存在感を増していきました。このテーブルについた時に始まったはずのその曲が、まだ終わって
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