ふざけてるのか/石川湯里
っていないことにも驚きました。
そしてテレビには青や緑の女達。
チープな異世界の演出だと考えると、いささか苛立ちました。
二番目の客の注文を聞きにきた給仕に視線を遣ると、こちらへと向かってきて歯を見せて笑いながら「ナンのおかわりですか」と私に尋ねました。
私は苛立ちを隠さず、叱りつけるように「ナンだねこのふざけた曲は」と問いました。
給仕は狼狽しながらも、ヘラヘラと何か言っていました。そんな姿を見ているうちにも込み上げてくる違和感、不快感がありました。もう一度「この曲はナンだと聞いている」と給仕に問い詰めてようやく私は埒が開かないことを理解しました。代わりにスマホのノートを開き「わかるようにここに書きたまえ」とそれを差し出すと、給仕は眉間をハの字にしながらも口元ではヘラヘラしながら何やら入力して、得意気にスマホを返してきました。
私は感情を取り乱さないよう深呼吸し、画面に目を遣りました。
「ねぱるの しばばばさん」
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