彷徨いの計器/ホロウ・シカエルボク
 
棚に戻していくとき、微量の電流のような殺意が指先で燻っている、いつか訪れた廃小学校の腐り落ちた廊下の一角、そこから異形のものたちが溢れ出す夢を見る、神よ、あなたが宗教にカテゴライズされるというのならば、あなたの言う平等はまったくの嘘だろう、もしもこの世界に大打撃を与えるほどの災害が訪れるのであれば、俺はそれを不幸なことだとは思わない、嬉々として崩壊した街路を駆け巡るだろう、動かせないポインターが立ち並ぶ地図にはもはや何の価値も無いのだ、ふたつのマグカップが水の中に沈められる、水の中で見る夢は音がしないだろうか、ふたつのマグカップは沈没した自分自身についてどんな感情を抱いているのだろうか、沈没したふ
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