壊れた受話器に泣かないで/ホロウ・シカエルボク
ものばかりで腹を膨らませている、ヒットソングには君が好きで辛いと書いてあればいい、ハイトーンでそれだけを歌っていれば狂ったようにダウンロードされる仕組みになっている、もうそれは音楽とは呼べない、本当の音楽、本当の言葉を聞かせてくれと捨てられた受話器に話しかける、繋がらないという保証がなければ叫ぶことすら出来ない、振り幅が失われ続けている、どいつもこいつも、前を見始めたら前を見続けることしか出来ない、電車の中でスマートフォンを見つめ続けている、俺はハヤカワミステリを開いて行を追い続ける、それがなんだっていうんだ、そんなことだってスタンドプレイだって言われて批判の対象になりかねない世界、無意識に繰り広
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