壊れた受話器に泣かないで/ホロウ・シカエルボク
 

高速で切り刻まれた、記憶の断片の産卵、街路の水溜りの中で澱んだ紙屑になる、血を感じられない日々の中で神経組織が煙を上げている、いつでもどこか鼻腔が焦げ臭いのはきっとそのせいさ、都市の回転はドラム式の洗濯機のよう、正常に回っているさまを見せつけるためにある…車のホーンが下手糞なシンフォニーを奏でて、安全なはずの横断歩道は渡り切れない者が増える、食料品にどんな値札が付いたって結局は財布を取り出すのさ、それが文明ってやつの正体に違いない、結果的に人々は、マイクロチップを埋め込まれて操られているに等しい、漠然とした共通概念の柔和な支配、無意味な満足感に浸りながらそこかしこで誰もが、すぐに食べられるもの
[次のページ]
戻る   Point(2)