陽の埋葬/田中宏輔
 
をおいた。マコトが、そのぼくの手の上に自分の手を重ねた。ぼくの手より分厚く大きな手だった。その手のまなざしを受けて、ぼくが唇を、マコトの唇に近づけると、マコトが目をつむった。唇が唇を求めて、はげしく絡み合った。その唇と唇のあいだで、何かが生まれた。それは愛だった。愛ではなかったとしたら、愛よりすばらしいものであった。それはこのひとときに生まれた悦びであり、後々、思い出されては胸に吊り下がるであろう悲しい悦びであった。手をふくらみの上にもってゆき、かたくなっていたのをたしかめた。マコトの手も、ぼくのかたくなったふくらみの上に置かれた。これ以上のことがしたくなったと言うマコト。ぼくが、マコトのジーンズ
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