落とし穴/たもつ
 
いろな所を
案内してもらった
原っぱの辺りを歩いていると
そこ気をつけて
息子が言った
それから続けて
落とし穴だよ、と笑った


もう走りたくない、と
バスが駄々をこねるので
背負って歩くことにした
猛暑日の中汗を掻きながら
ふうふうと歩いているうちに
やっと本当の
バスの運転手になれた気がした
そのまま営業所に辿り着くけれど
会社の人は皆
私のことなど知らないと言う
身分証を作って見せて回ると
やっとすべてを理解してくれた
それから十数年が経ち
他の人は退職してしまった
今日も一人でバスを背負って歩く
時々お菓子などをくれる人もいるし
運休日
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