道の木々/番田
横を過ぎていくことだけを噛みしめる日々だった。そのようなことを、今日も思った。木々は次の季節の気配をはらんでいるように見える。新しく住み始めた街にも、慣れはじめていた。僕は、今日もパンにピーナッツバターを塗って、食べたのだ。しょっぱいような味がした。青いケースの中に、入っていた。輸入された、アメリカの中で製造された商品だ。製氷機の氷がわざとらしい音を立てて落ちているのが僕はわかる。どうもこの部屋には霊がいるようだった。それが、サインのようなものを、色々なタイミングの中で送ってくる。引っ越しをしても、僕は床のきしむ音が明らかにひどいということに、あえて聞こうとすることもなくすでに気づかされていた。時
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