可惜夜/あらい
 
女の、元に 
翼を蒔いたの。なら ノスタルジー。
口を、
つけたのは 
紛れもなく まぐわってしまった



みな、
もう
パノラマ。



   海岸線に膿んだ余興に芯を点し ヨルはささめきごと、
   どうと転覆する 器に、ぬるく陽華美(ヒカビ)た緋雨が、あたる

   地畝(チホ)のあいだは脱い跳ね粘り気がある、とろけるつきひも、かがやき
   象牙で研いたカルカヤ。おやさしい、ハミングに絡み帰ってくる
   ほらぼらと偽装した、ともたれの。心中を知っているかのように今に
   耳鳴りを重ね、ほかでもないひとに打ち付けられた途を開かせ

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