雨垂れが聞こえ続ける限りは/ホロウ・シカエルボク
 

死生観のような雨を避けて、廃墟ビルの中で壁に背を預けて座り込んだ、雨音は右心室で染みになり、睡魔に負け始めた俺は次第に薬物中毒者みたいな微睡みの中へと溶け始める、小さな火がそれ以上広がりもせず、だけど確実に少しずつ焼いているような気分だ、靴底が滑り立てていた膝が床に落ちる、湿気た埃は大して舞うこともない…捨て置かれた建築物は半永久的な落盤を想像させる、死に続きがあるのならそれはきっとこんな光景だろうと思わせる、現実はどこかで夢に取って代わられた、雨垂れだけが現実との接点となってじくじくした音を鳴らし続けている、赤子の頃から往生際が悪くて、何度も死にかけたけれどまだこうして生きている、当然覚えち
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