メモ1/由比良 倖
も弾けそうに血を流している、というような想像だ。胎児は死んでいるかもしれないのだけど、不意に顔を上げて僕の眼を覗き込んで来そうな不気味な感覚がある。
もちろんそれは想像であって、妄想でも幻覚でもない。でももう、何もかもが、腐って縺れ合った肉片で構成されているような感覚に襲われるときがある。生きてて、清らかな世界なんて、もう二度と見られないような、僕の脳が蝕まれて、感情にぽっかり生理的な空洞が空いてしまったような、何ひとつ取り返しが付かないような、諦めの感情、というか無感情が湧いてきて。虚無感や幻滅が溜まりに溜まって、黒い澱みになってしまった。しかも僕には、それに抗う気持ちが全然湧いてこない。為
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