メモ1/由比良 倖
 
の利益の為に生きている訳じゃない。他の人に、光をあげることは出来る。でも闇は自分の中で滞るだけ。
 人は光を自家製造出来る。例え心が、光の届かない海の底にいたとしても、それでも自分の心には光を発する能力があると思う。例え他の誰からも、光を受け取れないとしても。

 後悔の念は特に無いし、もう夜中に寂しさに泣いたりとか、そういう湿っぽいことは全然しない。実際、感情的な苦しさに輾転としていたときもあったのだけど、そういう身体が絞り取られるような悲しさは、今は無い。
 ときどきとてもグロテスクな想像が頭から離れない。横になっても眠れないときなど。お腹の上に、節足動物に絡まれた胎児がいて、今にも弾
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