必要のない階段 ー下り編ー/菊西 夕座
 
段ある階段の背丈より高い欅をよりそうように植えて
  階下から一段ずつ枯葉の涙をおとすことで足跡にかえ
   天使の胸元をかけあがる精霊の息吹を詩に書いたことがある
    ネット詩の心やさしい読者たちがその詩に言葉をかけてくれた
     しらけるだけの空想だがその階段には罪がないと言ってくれた
      それなのにわたしは階段のとなりから欅をひっこぬいてしまい
       それを合図に階段の先にある鉄扉を永遠にふさいでしまった

       天使はいまも最上階でゆるされた唯一の口づけさえ拒まれている

       いまこの階段をおりるとき、わたし自身を自動モードには
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