陽の埋葬/田中宏輔
ら、細長い白い糸がつぎつぎと空中に噴き出した。よく見ると、それらの白い糸は文字の綴りのようであった。そのエクトプラズムの抽出の仕方によって、男は詩人というあだ名で呼ばれるようになったのであった。詩人の向かい合わせた手のひらのあいだにするすると白い糸が凝縮して、一体のホムンクルスが姿をとりはじめた。詩人の抽出するエクトプラズムはかなり質の高いもので、みるみるうちに人間の姿となっていった。すこぶる見目麗しいホムンクルスが、詩人の手のなかに横たわった。
夜が夜を呼ぶ。夜が夜を集める。日が没すると、電燈の明かりがまたたき灯った。公園の公衆便所の前で、携帯電話の画面を見つめている男がいる。夜が集めた
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