路/あらい
 
うしようもない後悔が、憐れだと波に浚われる航海に取って代わる。逃れられない運命、偶然という必然だと紅梅は降灰に等しく自然に映し出す。それならばもう諦めにも似た産声と尽くと、未だ春まだ浅い生ぬるい風が背を軽くさせた。
 ああ、気づいてしまったのだ。
 いや築かれていった咲きなのだと、一瞬、曼殊沙華の苑を通過する。
 ただ命の息吹だけが、燦燦と明朗に冴え亘り、わたしの、かげもかたちも見受けられないまま。

 廃墟が連なる山脈に囲われ、犇めき合い盾のような蔦が幾重にも絡まる。地は人工的な石畳が残りその歪な隙間を赤茶けた土が埋めている。
 青空が照り返し、そこに独り佇む。
 路地だけでなく、
[次のページ]
戻る   Point(1)