路/あらい
される。皆閉じてしまえばいったいどこに色恋があったのか、そこに命が売られていたのか、人生などわかりはしない。もう立ち寄る術もないのに行く先だけが伸びていく。
じっとりと染み込む汗、何度でも踏み締め足跡の後を追う、ぬかるみがアスファルトと渇く頃、うまれるまえより古く死ぬ時より新しく巻き戻した時が通過したように、思い患うところが、大概、ひとの悪い癖だろうと攀よじれる。
もとよりこの昏く狭く澱んだみち、はじめて足を踏み入れたのか、もうデジャブだけが手をこまねいていくのに。
今にいやに黄ばんだ頭痛と煤けた色を燻らせる目眩を奔ませ、限界まで吸われたシケモクとなにかを踏み潰す。これを誰かとするなら
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