くびれ/ただのみきや
つかまえて
響き奪い合う あの 声のもつれ
贄になり損ねたひとつのくびれを
ハマナスの実を煮て
死んだかもしれないかもめに金貨を乗せた
白い靴下
うらがえる羞恥を指先で広げ
青ざめた自己像を飾花で覆った
恣意的奇行と甘い歪の中で
死者をまとう
くびれは巫女
歩き回る匂い
いのちが漏れてゆく
唇がしぼんでゆく
誰もがまばたきをほんの一瞬だと思っている
疑いと不安が
裸の姉妹たちのようにベッドに入って来る
糖衣にくるまれた一粒の痛点
わたしはわたしを飲み込んだ
空っぽのグラスを抱いて
指がタップを踊り出す
灰が空腹を満たすことはなく
喘息の風
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