陽の埋葬/田中宏輔
三月のある日のことだった。
(オー・ヘンリー『献立表の春』大津栄一郎訳)
死んだばかりの小鳥が一羽、
樫の木の枝の下に落ちていた。
ひろい上げると、わたしの手のひらの上に
その鳥の破けた腹の中から、赤黒い臓腑が滑り出てきました。
わたしは、その鳥の小さな首に、親指をあてて
ゆっくりと、力を込めて、握りつぶしてゆきました。
その手触り……
そのつぶれた肉の温もり……
なぜ、わたしは、誑(たぶら)かされたのか。
うっとりとして陽に温もりつづけた報いなのか。
さやうなら、さやうなら。
粒子が粗くて、きみの姿が見えない。
死んだ鳥が歌い
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