帰る (散文詩にしてみました 4)/AB(なかほど)
 
の、古文アレルギーの僕は中に入
る気にもなれず、時間を決めて隣の戸越公園
で噴水を眺めてた。帰り道、戸越銀座の駅が
見える頃から、かゆいなと思いながらモゾモ
ゾとしている僕の顔を見て、君は怪訝そうな
顔をしてたが、家具屋の鏡に映った僕の首筋
からプツプツが沸き上がって、顔中に広がろ
うとしていた。「雨上がりの樹木からしたた
り落ちる液にかぶれたんだろう。やわだな
あ」なんて、あんなに笑うことはなかっじゃ
ないか。君のせいなんだから。それに、君の
方がずっとやわなのは知っていたさ。僕より
もずっとやわなのは。と思いながら、戸越銀
座の駅で降りた。もう一度公園まで歩いて噴

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