チンダルのはしご (散文詩にしてみました 3)/AB(なかほど)
 
ィルムの動き
が悪くなり、とうとう途中で切れてしまい、
観客はみな映写室を睨んだ。
 数分後、フィルムは回り始め、観客の安堵
の響きの中、僕は、映写機からスクリーンに
降りる光のはしごを凝視した。「おい」とい
う後ろからの声に、知らずに伸ばされていた
手を引っ込めた。



(午)
  
 まだ中学校の規則が厳しく、ゲームコー
ナーが日陰の場所に在った頃。幾何学模様に
動くものを皆が取り囲んで見ていた。煙草の
臭いも、騒がしいのも好きではなかった。け
れどそこは落ち着く。真っ黒のビロードの裂
け目から漏れて来る、光のはしごを見るため
に。
 そのはしごのか
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