チンダルのはしご (散文詩にしてみました 3)/AB(なかほど)
のかかる椅子に座り、友達には
気付かれないように、左手で光を浴びた塵を
掴んだり離したりしていたことを、いつも店
のレジの横に座り、自分の孫達を見るような
目をしていた銀歯だらけのお婆ちゃんは気付
いていた。そして微かに笑った。
「不思議かい。それは君のノートが白く見
えているのと同じことなんだよ。」そしてま
た微かに笑った。「つまらないかい。でも君
が大切にしてきたことと、そのはしごと、
どっちが確かなことなんだろう。」
(そして)
そして今、僕が見ているのは、雲から降ろ
される光のはしご。指から零れ落ちる。
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