白んだ月/ホロウ・シカエルボク
 

とっくにわからなくなっていたけれど
新鮮なものばかり食らうせいか
力は漲り
身体は強靭になっていった
昔映画で見たターザンのようだった
叫びこそしなかったけれど

おそらくは数年、いやもっと長い時間
そうして暮らしていた
ある日、森から少し離れたところに
ヘリが降りてくる音が聞こえた
少しの間小屋の中で息を潜めたが
近付いてくる足音が兵隊のそれではなかったので
緊張を解いて彼が罠にかかる前に小屋の前に出た
金髪の男が二人と、赤い髪の女が一人
剥げた大柄な男が一人だった
大柄な男がいろいろな国の言葉で話しかけてきた
その中に懐かしい言葉があった

知らぬ間
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