白んだ月/ホロウ・シカエルボク
が残っている箇所を見かけるようになった
出来るだけきれいな水を選んで喉を潤した
それだけでもうしばらく歩けると思った
そろそろ枯れた川を抜ける頃合いだった
川を下り過ぎると集落に出るかもしれなかったから
ゴツゴツした岩壁を上りきると右手に森が見えた
左手は相変わらず岩だらけの荒野だった
生き残るなら森だ、そうだろう?
戦場からはかなり離れた、もう敵も味方も
この地には残ってないだろう
果てしない疲労だけがこちらにもあちらにも漂っていた
森に入り
さっそく兎を食らうことが出来た
焼いただけの肉だが
人生で最高の美味さだった
森を数日彷徨ったあと
小屋を建てられそう
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