白んだ月/ホロウ・シカエルボク
声は本物だったのだろうか
確かめる気も、少し考えてみる気にもなれなかった
酷使し続けた膝が悲鳴を上げた
大きめの岩を見つけて座り込み
いまが乾季で良かったと胸を撫で下ろすだけだった
夢は銃弾の形をしていた
眼前からも背後からも
絶えず飛び交っていた
それまでのすべてが弾道に引き裂かれた
獣のように吠えていた気がする
生きようと決意すると
どんなやつだってそんな声を上げる
目が覚めた時
何処かで失くした銃をまた構えていた
目の前で飛び散った名も知らぬものたち
死にたくなければ殺すしかない
生きるか死ぬかしかないのなら
生き残らなければ正解か間違いなのかもわか
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