往診の思い出/板谷みきょう
 
ターに乗って
依頼された階の扉が開いたと同時に
ボクは愕然とした

到着した階は暴力団事務所
玄関に下足番の若い衆が
「ご苦労さまです!」
「どうぞ!こちらへ!」
「先生がいらっしゃいましたーっ!」

案内された広間には高級ソファーやデスク
壁には神棚と提灯
歴代の組長の写真が飾られている

ピリピリ張り詰めた空気の中でデスクの男性が
「どうも。若いもんが使ったらしくて…宜しくお願いします。」
柔らかく低い声でゆっくりと話しかけながら

隣の部屋で奇声を発しドタバタ暴れてるのと
「◯◯っ!じっとしてろっ!」
押さえつけながら複数の怒声に
いきなり部屋に向か
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